CL撃破。バルセロナを上回ったA・マドリードの「サポーター力」

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by Getty Images

 ビセンテ・カルデロンで行なわれたチャンピオンズリーグ(CL)セカンドレグ、アトレティコ・マドリード対バルセロナは、前半6分のMFコケのゴールを守り切ったホームチームが1対0で勝利。2戦合計2対1でアトレティコ・マドリードが1973~74シーズン以来40年ぶりのCL準決勝進出を果たした。

A・マドリードの勝利を喜ぶコケ(左)とファンフランA・マドリードの勝利を喜ぶコケ(左)とファンフラン どこまでこの日のビセンテ・カルデロンの雰囲気がテレビを通して届いていたのだろうか。

 アトレティコ・マドリードにとって今季5度目(過去4回はすべて引き分け)となるバルセロナとの対戦。ともすると食傷気味のカードになりかねないが、2年後に移転と言われているアトレティコの聖地に集うサポーターにそのような感情を持つ者はいなかった。

 CLのアンセムと共にスタンドに浮かび上がる文字。スペイン代表の黄金時代の礎(いしずえ)を築いたアトレティコ・マドリードのレジェンドであるルイス・アラゴネスがチームを鼓舞した言葉、「勝つ、勝つ、そして勝つんだ」がスタンドに現れる。チームと共に自分たちも戦っているとアトレティコサポーターはピッチに立つ11人の戦士たちを後押しすることを約束した。

 止むことのないチャント、相手ボールになれば一斉に繰り出されるブーイング、チャンスそしてピンチに一喜一憂。静かに試合を観戦している者はいない。ゴール裏だけでなくメイン、バックスタンド、誰もが手に持ったマフラーを振りながら、愛するチームのために90分間声を出し続けた。ホームチームのサポーターは確かにこの試合に参加していた12番目の選手だった。

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