ミラン復活の兆しが本田圭佑に変化をもたらした

  • ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari
  • 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

オフィシャル誌編集長のミラン便り(12)

 サッカーは本当に予測不可能な、素晴らしいスポーツだ。ほんの7日ほど前、正確にはフィオレンティーナ戦(3月26日)の前夜までは、我々はミランの危機を嘆いていた。ミラネッロにはピリピリとした張り詰めた空気が流れ、セードルフ監督の首さえも危うかった。

 しかし――やはりミランはミランだ。偉大なチームスピリットが最後には現れる。特に今のような難しい局面では必ず、だ。フィオレンティーナ戦、キエーボ戦の連勝はチームに力を与え、新たな闘志を取り戻した。試合後、ミランは久しぶりに日曜、月曜と2日間のオフをとった。ゆっくりと休んで心身の疲れを癒し、新鮮なエネルギーを充電し、ついでに頭から悪い考えもすべて叩き出すことができたら言うことはない。

キエーボ戦に先発フル出場、勝利に貢献した本田圭佑(BUZZI/FOOTBALL PRESS)キエーボ戦に先発フル出場、勝利に貢献した本田圭佑(BUZZI/FOOTBALL PRESS) ミランの復活の兆しは本田圭佑にも変化をもたらした。ラツィオ戦(3月23日)では腑に落ちない途中交代に、思わず「なぜ?」と両手を広げ、その様子をすかさずテレビカメラに収められていた本田だが、その後は2試合ともで90分のフル出場を果たし、その両方でポジティブな結果を残した。

 まずフィオレンティーナ戦では右サイドを絶え間なく動き、攻撃のみでなく守備にも積極的に参加、最後までチームのために自己犠牲の精神とファイトを見せた。このプレイはそれまで彼に懐疑的だったメディアやサポーターを大いに納得させたが、なによりも本田自身、子供の頃から夢見ていたユニホームを着ての活躍が嬉しかったのではないだろうか? 試合後、イタリアに来て初めてスタンドにユニホームを投げ入れたことが、その喜びを物語っている。

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る