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セードルフ監督の立場は首の皮一枚でつながっている状態だ (2ページ目)

  • ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari
  • 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 スタメンに復帰した本田圭佑は、この日も右サイドに配された。しかしこれまでよりはずっとこのポジションに慣れてきた印象を受けた、前半最後にはゴール枠をたたくシュートもあった。しかし後半に入ってたった9分で、セードルフは本田をベンチに呼び戻し、そこにバロテッリを入れた。

 本田はこの交代にはどうやら納得がいかなかったようだ。交代を知った時の、一瞬の彼の不満そうな表情と「なぜ俺が?」という軽く手を広げたジェスチャーを、テレビカメラは見逃さなかった。「今のミランのほとんどの選手は、このチームでプレイするに値しない」という先週のウルトラスの抗議に、本田の誇りは大いに傷つけられたはずだ。この日は自分がミランにふさわしい選手であることを見せたいという意気込みをもってプレイしていたのだろう。

 ラツィオとの引き分けは、とにかく難しい状況のミランに酸素を与え、ひと息つかせる結果となった。しかし今度の水曜日(現地3月26日)にはすでに次節の試合があり、相手はまたもやミランを窮地に陥れることのできるチーム、フィオレンティーナだ。それもラツィオ戦に引き続きアウェー。試練の時である。

 今回のミランの危機を見ていると、私は97~98シーズンのことを思い出す。当時の監督はファビオ・カペッロ。レアル・マドリードでの成功の後、不調だったチームを立て直すための抜擢だったが、カペッロのもとでもミランは18チーム中10位というとんでもない成績に終わってしまった。

 コッパ・イタリアでは決勝までは残ったもののラツィオに敗退。あと2試合でシーズンが終わるという日のホームでのパルマ戦で(奇しくも先週と同じ対戦相手だ)、ミランのウルトラスはふがいないチームと選手たちに猛烈な抗議をした。この時も監督交代が求められ、実際シーズン終了後数日にしてカペッロは解任された。

 代わりにミランにやってきたのは、それまではビッグチームを率いた経験はなかったが、ウディネーゼという地方のチームを3位にまで押し上げた実績を持つ監督だった。そして翌シーズン、ミランはその監督のもと16回目のスクデットを勝ち取った。その監督の名前をご存じだろうか? そう、その監督こそが"日本の"アルベルト・ザッケローニなのである。


オフィシャル誌編集長のミラン便り>

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