伊代表FWエルシャラウィが語るザックジャパンの実力と本田圭佑 (2ページ目)
ただ、サッカーというスポーツは往々にして、うまくいくときもあればそうじゃないときもある。"日本はうまくゲームを終わらせることができなかった"という見方を否定はしないけど、注目すべきは前半の20分間、W杯優勝4回のイタリアがまったく何もさせてもらえなかったということ。アズーリはまさに混乱してしまっていた。
試合後にプランデッリ監督が言ったとおり、『何をどうしていいのかまったく分からない状況だった』。それはイタリアの自滅というよりも日本の強さに起因していたと思う。結果的にはイタリアの逆転勝利だったけど、それは幸運もあってのこと。あの試合に勝つべきは日本だった。事実、勝ったとは言え、体力を消耗した僕らは、その代償を後の試合で払うことになったんだ」
――最も印象に残った日本の選手をひとり挙げるとすれば?
「それはやはり本田(圭佑)だよ。初めて"ナマ"で彼を見たが、噂に違わぬというか、それ以上の強烈な印象を受けたというのが実際のところだね。キープ力は突出しているし、走れるし守れる。さらにチームのために犠牲を厭(いと)わない。FKの威力は周知のとおり。しかも彼は、あれだけ激しい試合であっても冷静さを失うことがない。サッカーをやったことがある人なら分かると思うけど、これはそんなに簡単なことじゃない。しかもあのレベルでの試合だからなおさらね。
もうひとつ彼の素晴らしいところを挙げると、それは絶対にボールを『ムダにしない』、つまりバックパスや横パスに逃げないってことだね。
その彼がミランに来てくれたら僕は本当に嬉しく思うし、来年の1月が楽しみだよ。彼の力は必ずや今のミランにとって有益だと思う」
―― 一方、ザッケローニ監督について、彼のサッカーをどう見ていますか? 先のコンフェデ杯でも少し話をしたと聞いていますが。
「たしかに試合の後で話はしたけれど、ほんの挨拶程度のものでこれといった"ネタ"はないよ。残念ながら(笑)。
ただ、以前、彼のインタビューを読んだことがあって、僕の記憶が間違ってなければ、彼はこう言ってくれていた。『エルシャラウィは私のサッカーを実践するうえで理想的なFWだ』と。ビックリしたよ。なにせ僕が小さい頃から応援していたミランの監督経験者、僕が9歳だった99年、スクデット獲得を成し得てくれたザッケローニ監督の言葉だからね。これ以上光栄なことはない。
とにかく、僕にとってザックは半ば雲の上の人で、イタリアのサッカー史にその名を刻んでいる名将。ここ数年はその評価が分かれていることも知っているけど、確かなのは、今の彼が日本代表で素晴らしいサッカーを実際に見せているという事実。コンフェデでの僕らとの試合が示すように、失点を恐れずに果敢に攻めるサッカーは本当に魅力的だと思う。何を仕掛けてくるか分からない、その怖さが彼のチームにはある」
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