メキシコ人記者が語る「突然、失速した日本の不思議」

  • ブルームロゼン・ダニエル●文 text by Blumrosen Daniel
  • 栗原正夫●翻訳 translation by Kurihara Masao

 日本の失点を振り返ると、1点目は中央のチチャリートを完全にフリーにしただけでなく、クロスを上げた左MFグアルダードへの酒井宏樹の寄せも甘かった。2点目はCKからで、最後にチチャリートと競り合ったのは途中出場したばかりの小柄な右SB、内田篤人だった。内田とチチャリートでは完全にミスマッチである。CBが1点目同様、チチャリートの動きを見逃していたのだ。

 日本は全体的に守備時のポジショニングの悪さが目立ったが、それは経験のなさからくるものだろう。また、メキシコと日本では身長の差は大きくないが、ひとりひとりのフィジカル=体の強さという点でも、日本は十分でなかった。

 それにしても日本はなぜイタリア戦のような調子を保てなかったのだろうか。メキシコが前の2試合に比べて動きがよかったかといえば、そうではなかっただけに、理解に苦しむのだ。

 メキシコ戦では序盤はよかったが、後半は急に動きが落ちてしまった。常に日本を見てきたわけではないので、コンディションに問題を抱えていたのかどうかはわからないが、試合や時間帯によって出来に波があり過ぎるのではないか。現代サッカーでは90分フルパワーで動くことは難しい。ましてコンフェデ杯のような短期間に集中して試合を行なう大会の場合には、試合の中でのリズムやペース配分が大事になってくる。日本はそのあたりのことを学ぶ必要があるのではないだろうか。

 また、イタリア戦でもメキシコ戦でも、攻撃面では相手にダメージを与えるべき場面で確実に決め切れず、勝負強さが備わっていないようにも感じられた。岡崎慎司はスピードもあり、大会を通して日本の攻撃に驚きを与えていたが、全体としては香川と本田への依存度が高すぎるようにも感じた。香川は言うまでもなく日本のスターだが、チームのバランスは大切だ。

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