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【ドイツ】途中交代の乾貴士、注目されるが故の苦悩 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 その分、前節の前半のみでの交代には注目が集まった。シュツットガルト戦翌日の練習、「出場時間が短かったから」と"志願して"フルメニューをこなしたのが、指揮官からの罰則だとしてメディアでも報じられた。その注目度が高いが故に、外からのプレッシャーも大きくなっている。自分の納得のいかないプレイに外野の声が重なってくる。試合を振り返るその表情は険しく、絞り出だされるように言葉が出てくる。

 フュルト戦は開始1分にマイヤーの得点で先制するが、その後は攻め立てられた。

「開始早々に点が入ったけど、その後いいリズムではできなかった。自分自身もチャンスは1回ありましたし、それを決めてれば2-0で勝ち切れたかなと思う。ああいうところ決めないと、と思う」 

 乾の言うチャンスとは、前半12分、マイヤーのパスを受け左サイドからシュートを放ったもののこと。グラウンダーでゴール右すみを狙ったが、GKに難なくキャッチされた。その後はボールタッチの回数も少なく、守備に走り回るが、チャンスを作り出すプレイには至らず。後半になって追いつかれると、その4分後に交代させられている。

「交代(の時間)は早すぎた。でも、これが今の自分の実力。しっかり受け止めて頑張りたい」

 固い顔つきの中に、自分への嘲笑のようなものが浮かんだ。

 フランクフルトがこのまま快進撃を続けるのは、おそらく現実的には難しいだろう。上位陣にはやはり実力と経験が備わっている。ここから先は勢いだけでは太刀打ちできない。チームが復調し、サポーターの歌う「ヨーロッパカップ」出場を実現するためには、まずは乾が調子を取り戻す必要がありそうだ。

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