まさかのドローで戦犯探し。高視聴率を稼ぐ王者・スペインが弱体化!?

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michko

 スペイン代表がW杯予選でフランス代表と対戦し、ホームで引き分けたとあって、スペイン国内ではちょっとした「嵐」が吹き荒れている。

 この試合の前に、フランスが日本代表に敗れたという事実が、スペインの気を緩ませていたのも事実だろう。冷たい言い方だが、日本を相手に勝てないフランスが、ユーロを連覇し、ワールドカップも手に入れた世界一の自分達にかなうはずがないという慢心があったことは否めない。

 前半、攻撃を引っ張っていたシルバが負傷で下がってから、スペインはすっかり「腑抜け」になってしまった。現在、スペインのあちこちのサッカー番組で戦犯探しを行なっている。

 今のところ、フェルナンド・トーレスをはじめ9番、つまりストライカーが機能していないこと、シャビ・アロンソひとりのワンボランチを試したところ、それが機能しなかったこと、ディフェンスの要であるセンターバックのプジョルとピケが負傷で招集されていなかったこと、唯一のゴールを決めたとはいえ、ケガあがりのセルヒオ・ラモスが復調していないため、守備が弱体化したこと──などが指摘されている。

「ゴールを決めても勝ち点3が得られなければ意味がない」と試合後、セルヒオ・ラモスは天を仰いだ。

 それでも、この試合はスペインで44.1%もの視聴率を稼ぎ、過去16年の代表戦の中で最高の視聴率を記録した。国内だけで約898万人の人々が見た計算になる。

 この日、世界王者が「腐っても鯛」のフランスを打倒し、グループ首位に飛び出すところを見たいと願う人々が多かったのだろうが、そのシナリオ通りにはいかず、スペイン代表は次のアウェーでの一戦でグループ突破を狙うことになった。

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