【イングランド】マンU逆転勝利も、香川真司に訪れた試練

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Akira Suemori/Kaz Photography

サウサンプトン戦に先発、61分までプレイした香川サウサンプトン戦に先発、61分までプレイした香川 前節オールドトラフォードで初ゴールを挙げた香川真司だが、この日のサウサンプトン戦は、3試合連続で先発出場した中で最も厳しい内容となった。

 香川は4-2-3-1の2列目の中央というポジション。1トップはファン・ペルシー、左にウェルベック、右にバレンシアという組み合わせだ。従来の4-4-2ではなく、このシステムにしたのは、香川にゴール前での配球役を任せる意図もあるのだろう。

 李忠成が在籍し、吉田麻也が新加入したことで知られる対戦相手のサウサンプトンは今季からプレミアリーグに昇格した。おそらくマンチェスター・ユナイテッドとの対戦は、待ち望んでいた夢のような一戦なのだ。通常よりも高い集中力を発揮し、前線から常にハイプレッシャーをかけ続け、奪ってはカウンターという戦術を徹底してきた。

 それが功を奏したのが前半16分のシーンだ。右サイドの相手陣内に入ったあたりで香川がパスを受け、落ち着かせようとひと呼吸したところで、ボールを奪われる。そのまま3本のパスでゴール前に侵入すると、一気にゴール前にクロスを入れ、それをランバートがヘディングを叩き付けた。マンチェスター・ユナイテッド相手に先制。スタジアムはわいた。

 取り返そうとしたか、直後の21分に香川はミドルシュートを打つがこれはキーパー正面に。後半4分にはファン・ペルシーからのマイナスのパスを受けると、自らゴール前に持ち込んでシュートを放つが、今度は枠の右へ反れる。結局、見せ場は作れず、61分に交代することとなった。

 相手の守備への戻りの速さに攻めあぐねたこともあるのだろうが、前線で手詰まりになり、香川へのパスはなかなか出てこない。ウェルベックがゴール前に入ってスペースがなくなると、香川はボランチと最終ラインの間まで引いて顔を出し、ボールをさわってリズムを作ろうとする場面も多く見られた。

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