[2011年10月12日(水)]
【南米】W杯予選開幕!「台風の目」ベネズエラがアルゼンチンを破る
- 三村高之●文 text by Mimura Takayuki
- photo by Getty Images
W杯南米予選がスタートし、10月7日に第1節、11日に第2節が連続して行なわれた。2014年大会開催国のブラジルは参加していないため、予選突破を争うのは9カ国。総当たりによる全16試合の長い道のりとなる。出場権を得られるのは4位までで、5位はプレイオフへ回る。9カ国で4.5枠というのは、他地域からすれば羨ましいかぎり。5位になってもプレイオフの相手はアジアなので、勝ち上がる可能性は高い。
戦いの軸となるのは、やはりアルゼンチンだろう。新キャプテンに任命されたことでメッシが自覚を深め、チームへの貢献を第一に考えるようになった。初戦はイグアインのハットトリックとメッシのゴールで、ホームでチリを4-1で下している。
また南アW杯ベスト4にしてコパ・アメリカ王者のウルグアイも予選突破は濃厚。同じく南アW杯出場組のチリも有力候補だが、パラグアイは監督交代などの影響があり、今回は苦戦が予想される。
9カ国参加で4.5枠、つまり2分の1という好条件に加え、強豪ブラジルが不在ならば、意外な国の台頭も大いにありうる。W杯は98年フランス大会が最後のコロンビア、82年スペイン大会以来となるペルーが今回は不気味な存在となりそうだ。
だがこれらの国以上の注目株が、南米で唯一W杯に出場していないベネズエラだ。メジャースポーツは野球だったが、サッカー人口も着実に増加し、07年にはコパ・アメリカを自国で開催した。09年には南米予選を勝ち抜き、U-20W杯に出場を果たしている。これが同国にとって各年代を通して初めてのW杯。そして、今年のコパ・アメリカでは、以前では考えられなかった4位という好成績をあげた。
代表監督のファリアスは、U-20代表を率いて同国のサッカー史を塗り替えた功労者だ。38歳と若い彼は、ときに大胆な采配や行動で周囲を驚かせる。今予選の第1節、アウェーのエクアドル戦もそうだった。標高2800メートルというキトで戦うため、招集可能なメンバーでB代表を作り、1ヵ月間にわたり国内の高地でトレーニングを積んだのだ。
メンバー的に戦力ダウンしたため、結局、試合には0-2で敗れたが、「敗戦の責任は選手でなく、すべて私にある」と語り、批判があれば一身に背負う覚悟を示した。選手やスタッフに気を遣い、立てる彼は、チーム内で絶対的な信頼を得ている。
彼がB代表を作ったのは、高地対策以外にも理由があった。それはアランゴ、ロンドンらヨーロッパ組が入るA代表を、ベストの状態で第2節のアルゼンチン戦にぶつけるためだ。最強メンバーが準備万端ならば、中3日の連戦と移動で疲労している強豪をホームで叩けるかもしれない。
コパ・アメリカではブラジルと引き分けているし、9月にインドで行なったアルゼンチンとのテストマッチは、お互いにベストメンバーで0-1の惜敗だった。両チームにコンディションの差があり、さらに暑さという地の利を活かせば、打倒アルゼンチンも夢ではない。
その作戦は当たった。立ち上がりこそ一方的に攻められシュートの雨を浴びたが、いずれもGKの正面。30分過ぎからアルゼンチンは暑さと疲労で足が止まり、後半は完全にベネズエラのペースになった。そして60分、CKからビルバオのアモレビエタがヘッドでゴールを決めたのだ。
メッシはほとんどボールに触れず、たまにパスが渡ってもあっさりと取られる。メッシだけでなく、アルゼンチンの全選手が、1対1の場面で格下のベネズエラにことごとくやられた。試合は1-0のままタイムアップ。ファリアス監督は、ベネズエラのアルゼンチン戦初勝利(アマチュアを除く)という新たな歴史を築いた。




















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