「そのうち早稲田がくるな」、青学大・原晋監督や駒澤大・大八木弘明監督の激励を実現へ。花田勝彦監督が考える、箱根駅伝6位からの強化プラン (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

 早稲田大の総合タイムは、10時間55分21秒で花田監督の想定タイムとほぼ同じだった。シード権を獲得し、次につながるレースになった。選手たちも「ここで満足してはいけない」と語り、花田監督と同じ気持ちを共有することができたことは非常に大きかった。ただ、現実には、トップの駒澤大とのタイム差は大きく、厳しい現実として突きつけられた。

──優勝した駒澤大とは、総合成績で約8分の差がありました。この差はどう見ていますか。

「私のなかで優勝タイムは10時間45分前後、うちは10時間53分から56分を考えていたので、ほぼどちらも想定どおりでした。それでもこの差は大きいです。うちが圧倒的に足りないと感じたのは、スピードです。エントリーのタイムを見てもうちの選手は5000mとか1万mのタイムが他のチームよりも劣っています。やっぱり競り合いになった時、相手が1万m27分台で自分が29分台だと勝てないという気持ちになるので、そうならずに戦うためには春からはタイムを狙う選手は結果を出していかないといけないと思っています」

──春はスピード強化としてトラックに力を入れていくということですか。

「そうですね。優勝を狙えるチームにするためには、10人の内、5名は1万m27分台とかインカレで優勝争いをする選手が出てこないと難しい。また、自分のスピードが上がっていけば、総体的な力も上がっていきます。チームにとって箱根駅伝は大事ですけど、早稲田としては学生トップ、日本のトップを目指すという話をよくしているので、次の1年に関しては、そこにもしっかりとフォーカスしていきたいなと思っています」

──チーム強化として、何か特別なプランを考えているのでしょうか。

「海外遠征を考えています。中央大の藤原(正和)監督の計画で吉居(大和・3年)君をアメリカに行かせていますが、これはすごく重要かなと思っています。私も海外遠征が成長を後押ししてくれたからです。大学4年の時、チームメイトの渡辺(康幸)君がユニバーシアード出場になり、私は次点になって落ち込んでいたんです。その時、監督の瀬古(利彦)さんから『渡辺の練習パートナーとして来い』と言われて、1か月半ほど欧州遠征に帯同させていただきました。そこで5000mと1万mで当時の学生歴代2位の記録を出すことができて、一気に強くなりました。そういう機会を早稲田で作っていきたいと思っていて、2月にはその資金を集めるためのクラウドファンディングをやります」

 春には八千代松陰の工藤慎作、佐久長聖の長屋匡起、学法石川の山崎一吹らポテンシャルの高い選手たちが入学してくる。一方で、強さを見せた主将の鈴木創士、ゲームチェンジャーの井川龍人が卒業するが、新しいチームからはそういう存在が見えてこない。

──優勝するチームには、必ずゲームチェンジャーと呼ばれる選手が存在します。

「井川が卒業した後、早稲田の顔って誰?と言われたら、たぶん今は名前が出てこないと思うんです。次の箱根までに早稲田のエースは誰々だよねっていう状況を作らないと今年以上の結果は望めない。その可能性があるのが、1区を走った間瀬田(純平・1年)、今回は出なかった山口(智規・1年)とか、須山(向陽・1年)あたりですね。あと、都道府県駅伝で長野代表として優勝した伊藤(大志・2年)、石塚(陽士・2年)がエースに育ってほしいというのがあります。今の3年生は、菖蒲(敦司・3年)が新たに駅伝主将になりますし、下りが得意な北村(光・3年)もいますが、この1年で井川のようになるのは時間的に難しいですし、来年以降のことも考えると新入生も含めた新3年生までの世代に期待したいですね」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る