東大生ランナー・近藤秀一が語る「僕が箱根駅伝を走る前に思うこと」 (2ページ目)

  • 高橋博之●文 text by Takahashi Hiroyuki
  • photo by Matsuo/AFLO

「もうちょっと前の位置での展開を考えていたんですが、うしろになってしまいましたね。タイムや順位を気にせず自分の走りをすることだけを心掛けました。それにしても5000や1万は忙しいです。20 kmくらいはないと」

 無事に箱根路への切符をゲットした近藤は、レースを振り返って笑顔を見せた。

 近藤は3回目の登録でめて本大会を走る。以前の「登録2回を超えない選手」という規定のままだったら、1年、2年で登録されていた近藤にチャンスはなかった。しかし今回から「本大会で走っていない選手」という規定に変わったため近藤は走れることになった。どれだけ喜んでいるかと思いきや、意外なほど冷静だった。

「実は、今までのように『箱根、箱根』という衝動はありません。一昨年、昨年と2年連続で走れなかった。そこで僕の箱根駅伝への挑戦は一度終わったんです。箱根がかなわなくなり、これから何のために陸上を続けようかという思いと、箱根だけが陸上ではないという思いが混じり合い、何をやるにしても重苦しかった。そんな僕を仲間が気遣ってくれた。『今こそ自分が変らないと......』と思うようになりました」

 近藤は競技者としてのステータスを高めるためにフルマラソンへの出場を決意する。狙いは東京マラソン中学・高校時代から大会を通してお互い高めあってきた下田裕太(青山学院大4年)が前年に2時間1134秒を出したレースだ。急仕上げではあったが目標を2時間15分切りに設定した。

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