吉田知那美がロコ・ソラーレを象徴するフレーズとして大切にしている、ネルソン・マンデラ氏の言葉 (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro

 勝てば、次の大会への挑戦権だったり、メダルだったり、賞金だったり、注目だったり、肩書きだったり、得るものは多いです。どれも大切なものではありますが、「もっと強いチームになりたい」「さらに強い選手でありたい」と願うなら、少なくとも私たちには負けは不可欠な要素だと捉えています。

 強いチームはたくさんあります。でも本当に強いチームは、ただでは負けず、負けから誰よりも多くのことを学び、そして何度負けても、どん底から這い上がってくるチームだと思っています。

 負けを怖いと感じるのは、それを失敗と捉えているからで、私はその先で勝つために必要な確認作業だと考えています。多くの人は勝っている時、うまくいっている時には確認作業を怠ってしまいがちですが、負けたあとは必ず試行錯誤や課題克服のためのトレーニングに取り組みます。

 チーム、選手としての真価はうまくいっている時ではなく、どん底の時にどう振る舞うか。ロコ・ソラーレはこれからも、勝って、学んで、どん底から笑顔で這い上がってくるチームとして、私たちのペースで世界一になる研究を続けていけたらと思います。

 今回挙げた「I never lose. I either win or learn. 」という言葉を最初に聞いたのは、いつ、どこで、だったのか、どうしても思い出せなくて、ある時調べてみたら、元南アフリカ大統領のネルソン・マンデラさんの言葉だったことを知りました。

 きっとどこかで読んだのだと思いますが、場所と時間を超えて、私たちにも共通したフレーズだったので、今でも大切に使わせてもらっています。そして、ロコ・ソラーレは今季もたくさん負けましたので、最後のグランドスラムでまた這い上がる準備をしている最中です。

カナダ・レジャイナ(サスカチュワン州)で開催中のグランドスラム『チャンピオンズカップ』に出場中のロコ・ソラーレ。試合に向けてのデータチェックも、常に入念に行なっている。写真:本人提供カナダ・レジャイナ(サスカチュワン州)で開催中のグランドスラム『チャンピオンズカップ』に出場中のロコ・ソラーレ。試合に向けてのデータチェックも、常に入念に行なっている。写真:本人提供この記事に関連する写真を見る吉田知那美(よしだ・ちなみ)
1991年7月26日生まれ。北海道北見市出身。幼少の頃からカーリングをはじめ、常呂中学校時代に日本選手権で3位になるなどして脚光を浴びる。2011年、北海道銀行フォルティウス(当時)入り。2014年ソチ五輪に出場し、5位入賞に貢献。その後、2014年6月にロコ ・ソラーレに加入。2016年世界選手権で準優勝という快挙を遂げると、2018年平昌五輪で銅メダル、2022年北京五輪で銀メダルを獲得した。2022年夏に結婚。趣味は料理で特技は食べっぷりと飲みっぷり。

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