五輪メダルも通過点。カーリングの「ど変態」本橋麻里の戦いは続く (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • photo by JMPA

 本橋は、2012年5月に結婚している。自身のブログにも「結婚相手は同郷の方ながらカーリング関係の方ではありませんが、ご縁があって共に人生を歩ませていただくことになりました」と綴(つづ)っているが、謙次さんはカーリング関係ではないどころか、カーリングのルールすら、現在もまだうろ覚えだ。

 昨秋から五輪前後にかけて複数のメディアが彼に接触を試みたが、「僕はカーリングのことはわかりませんので、ごめんなさい」と、丁重に固辞し続けていた。僕も縁あってお会いすることができたが、取材は同様にやんわりと断られていた。

 それでも、その記事で紹介した「なんでこの人はこんなにストイックにやるんだろう、こんなにできるんだろうと不思議になります」というコメントは、カーリングを知らない方の外からのものであると同時に、誰よりも彼女を知っている方のコメントで、最も端的に本橋麻里というカーラーを表現していたので、どうしても使いたかった。つまり、無断で確信犯的に書いた。

 編集部や読者からの評判は概(おおむ)ね悪くなかったのだが、小心者な僕はそれだけに罪悪感と恐怖を抱えた。本橋と旦那さんは気分を害していないだろうか。

 震えていると、なんと本橋麻里本人からメールで連絡をいただいた。

「記事を読んだ友人から『やっぱり変態だったんだね(笑)』と連絡もらいました」

 とあった。やはり人々は「変態」に食いついている。

 そして、「一点訂正が」と続く。喉が渇いた。

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