【スピードスケート】前回五輪の日本人メダリストたちに強敵続々 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 その中で、もっとも安定した力を見せているのが、バンクーバー王者のム・テボン(韓国)だ。W杯4戦目であるベルリン大会の第2レースで優勝したほか、2位4回、3位1回と五輪連覇へ意気込んでいる。

 ほかに、今季のW杯総合ランキング2位のミヘル・ムルダー(オランダ)も、金メダルの有力候補といえる。北米の高速リンクで行なわれた2大会では3位が最高だったが、第4戦のベルリンで優勝と3位表彰台。さらに1月の世界スプリントでも500mは初日に34秒86を出し、2日目も35秒12のトップタイムで連勝した。

前回バンクーバーで銀だった悔しさを胸にソチへ向かう長島圭一郎前回バンクーバーで銀だった悔しさを胸にソチへ向かう長島圭一郎 長島と加藤はこのふたりに次いでW杯ランキング3位と4位にいるが、5位には6レースに出場して優勝1回を含め4度表彰台に上がったミヘルの双子の弟・ロナルドがいる。また、W杯アルマイト大会(カザフスタン)で1位と3位になったアーチョム・クズネチョワ(ロシア)も虎視眈々と上位をうかがっている。

 W杯開幕戦のカルガリー大会(カナダ)で優勝したタッカー・フレデリクス(アメリカ)は、その後5位が最高と調子を落しているため、金メダル獲得は、加藤、長島、ム・テボン、ムルダー兄弟、クズネチョワの6人の争いとなりそうだ。

 一方女子は、W杯開幕戦4位でシーズンをスタートした小平奈緒がメダルの有力候補。小平は、各大会で1000mや1500mにも出場する厳しいスケジュールの中、第3大会初日に500mで3位になっている。

 1月の世界スプリントでは「この時期が唯一体を休められるので」と練習量を落とした状態で出場したため、総合5位に止まったが、そこからもう一度練習の量と質を上げて体づくりをしており、十分メダル争いに加われる位置にいる。

 女子500mでは、バンクーバー五輪女王で昨シーズン世界記録保持者になった李相花(韓国)が、今季は開幕2戦で3度も世界記録を塗り替えていき、36秒36というとんでもないタイムを出した。その後も、李は今季のW杯7レースすべてで優勝と、怪物的な力を発揮している。巧みなコーナリング技術でどんなトラックでも強さを見せつけているだけに、李がダントツの金メダル候補だろう。

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