村元哉中&髙橋大輔は「はちゃめちゃな日本っぽさ」などで観客を魅了。想像を超えた滑りで北京五輪出場へ一歩前進 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 そして、かなだいはフリーダンス(FD)も、108.76点で同じく日本歴代最高得点をたたき出した。

 昨シーズンから継続となった『ラ・バヤデール』で悲しさのなかの楽しい恋の風景を演出。冒頭、レベル4がついたコンビネーションスピンから、一気に夢の世界へ引き込む。安定したリフトの連続、息の合った鋭い回転のツイズルで万雷の拍手を誘った。

「すばらしい曲で、1年で終わりはもったいないって完成を目指してやってきました」

 髙橋は語ったが、まだ夢の途中なのだろう。最後のリフトなど、一つひとつのスキルでは改善点もあると言う。世界トップとスケーティングスキルを比べ、少しでも差を縮めようと必死だ。

 言い換えれば、それはルーキーにとって成長の余地でしかない。

「大ちゃん(髙橋)の『楽しい』という言葉が、すごく印象に残っています」

 村元は髙橋と最初にアイスダンスをした時のことを語っているが、楽しさは表現者にとって無敵になるアイテムなのだろう。上達することで、違う風景が見える。そこでの努力は努力ではなく、誘惑に突っ走ることに近い。

 そしてNHK杯、2年目で日本人選手トップに立った。

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