自己ベストで逆転優勝。今季の宇野昌磨は、これまでとはどこかが違う

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha photo by AP/AFLO

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第2戦スケートカナダで、ショートプログラム(SP)では2位(88.87点)と出遅れた宇野昌磨が、フリーで巻き返して188.38点の1位となり、合計277.25点で逆転、大会連覇を飾った。フリー、合計ともに自己ベストを更新する、いずれも今季世界2位の得点をマークして、GP通算4勝目をあげた。

フリーで自己ベストを更新し、スケートカナダで逆転優勝を飾った宇野昌磨フリーで自己ベストを更新し、スケートカナダで逆転優勝を飾った宇野昌磨 五輪ポストシーズンの今季、熱の入った練習に取り組んできた20歳は自分を信じて試合に挑むことを誓っていた。結果よりも内容を重視。自分がやりたいことを貫く覚悟を持って試合に向かった。

 スケートカナダの大会前、宇野はこう話していた。

「自分の練習してきたことが出せれば、結果はおのずとついてくると思っているので、しっかり練習の成果を出したい。自分らしい演技ができるようにやっていくだけかなと思います」

 現地時間26日に行なわれたSP『天国への階段』では、思わぬ失敗をした。

 最初の4回転フリップと、トーループの4回転+3回転の連続ジャンプを跳んだにもかかわらず、練習でもほとんど失敗せず、「一番心配していなかった」という得意のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で大きく転倒。軸が斜めになったジャンプミスで、転んで背中を氷面につけたまま壁に衝突したほどだった。ただ、すぐに立ち上がって見せ場のステップに入り、観客を魅了して最後まで演技をまとめてみせたあたりは、さすがだった。

 演技後に報道陣の前に現れた宇野は、いつもとは違って、まくし立てるようにトリプルアクセルを失敗した要因を、同じ言葉を繰り返しながら語った。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る