荒川静香トリノ五輪金メダルから10年。日本フィギュアの何が変わったのか

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha フォート・キシモト●写真 photo by PHOTO KISHIMOTO

 10年前の今日、2006年2月23日、トリノ五輪フィギュアスケート女子シングルで、ショートプログラム(SP)3位だった荒川静香がフリーで自己ベストを出して1位となり、大逆転で総合優勝を成し遂げた。アジア選手として五輪フィギュア史上初の金メダルは、同五輪日本唯一のメダルでもあった。また、24歳での金獲得は、五輪女子フィギュア史上最年長の快挙だ。

2006年2月23日、トリノ五輪で金メダルを獲得した荒川静香選手2006年2月23日、トリノ五輪で金メダルを獲得した荒川静香選手 彼女の演技は、代名詞となったレイバック・イナバウアーとともに世界に記憶され、語り継がれている。競技では直接加点されるムーブメントではなかったこの技をあえて入れたことで、独特の個性をプログラムで表現することにつながり、メダルの色を金色にできた要因の一つだったに違いない。本人も「自分らしさを出して記憶に残るスケーターになりたかった」と語っている。

 トリノ五輪で記憶にも記録にも残る金メダルを獲得したことで、フィギュア人気に火がついたことはいうまでもない。かつてはマイナー競技として細々と新聞やテレビなどのメディアに取り上げられるだけで、五輪以外は一般の人に関心を持たれることはなく、根っからのフィギュアスケートファンが観戦するだけだった。そんな空気がガラっと変わったのが2005~06シーズンだった。

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