世界最高得点更新。
羽生結弦がNHK杯SPで感じた「久しぶりの気持ち」

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi 能登 直●写真 photo by Noto Sunao

 その後のフライングキャメルスピンもスピード十分のレベル4でGOEも2点と3点が並び、後半に入ってすぐのトリプルアクセルも完璧に決めた。そして、ステップシークエンスも気合いが入った切れ味の鋭い滑りでレベル4をもらうなど、躍動感あふれる見事な演技を披露。歴代世界最高の106・33点を獲得したのだ。

「とにかくこの1カ月間は、自分でもビックリするくらいに一生懸命練習をしてきましたから(笑)。正直言って、楽しかったです。第1グループでボーヤン・ジン選手が95点台を出したのも、モニターにも映っていたので知っていました。彼は自分ができることを精一杯やったからその得点が出たのだろうから、僕も僕のできることを一生懸命やるだけだと思っていました。失敗を恐れながらではなく、久しぶりにワクワクしながらやれました。完璧ではなかったけど全部のジャンプを立ったので、そのうれしさも久しぶりでした」

 さらに、気合い十分の"魅せる"ステップができた要因については、「最後のトリプルアクセルも気持ちよく決められてスピンも思い切り回れたので、気持ちよく演技ができたという感じです」と手応えを語った。

 2シーズン目になる『バラード第1番ト短調』だが、これまで「『なかなかノーミスをさせてくれないな』という(ノーミスに挑戦する)楽しさもあった」という。そして、ついに今回、ノーミスを達成したのだ。

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