髙橋大輔らトップ選手を支えた栄養士が語る「秋冬のアスリート食」

  • 川喜田研●構成 text by Kawakita Ken

特集 スポーツの秋、食の秋(6)

スポルティーバがお送りする「スポーツと食」の特集。今回は、フュギュアスケーターの荒川静香選手、髙橋大輔選手など、多くのトップアスリートを長年「食」の面から支えてきたスポーツ栄養士の石川三知(いしかわ・みち)さんに、食欲の秋、そして寒い冬に向けて、スポーツ選手に心がけてほしい「食」のポイントを教えてもらうとともに、彼女がこれまで「食」を通じて共に歩んできたトップアスリートたちとのエピソードも語ってもらった。

■秋から冬にかけて選手が注意すべきポイント

 フィギュアスケートやスピードスケートのような冬の競技はシーズンイン、競泳や陸上など夏の競技は試合のシーズンが終わり、ここから次のシーズンに向けての身体づくりが始まる時期ですから、競技ごとに食事指導もそれぞれ違うと思っている方が多いと思うんですが、実は最も共通点が多いのが、この秋から冬の季節で、ポイントは、『病気への抵抗力を上げる身体づくり』です。

 冬の競技の選手は各地を転戦する生活が始まります。気温が低くて空気が乾燥している場所での競技なので、ただでさえ風邪をひきやすい環境です。とくにフィギュアスケート選手は衣装だけではなく、氷上練習中も薄着なのです。そんななかで体調を崩さず、試合にベストの状態で臨めるような食事とコンディショニングが何よりも大切です。

石川さんは髙橋大輔ほか、多くのトップアスリートの食事を担当してきた  photo by Noto Sunao/JMPA石川さんは髙橋大輔ほか、多くのトップアスリートの食事を担当してきた  photo by Noto Sunao/JMPA

 一方、夏の競技の選手はこのオフのトレーニングで身体もメンタルもどこまでタフに鍛えられるかが来シーズンを左右する。でも、厳しいトレーニングでカラダを苛めれば、当然、疲労も溜まり、免疫力も下がります。だからこそ、「風邪をひかない」「インフルエンザに罹らない」「練習を休まない」ための食事とコンディショニングが大切です。こうした、一見、地味で当たり前に思うことこそがいちばん重要で、ベースになるんです。

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