オータムクラシック優勝。羽生結弦が初戦で手にした収穫とは? (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 それでも羽生は、「もちろん同じジャンプということもあるので、客観的に見れば後半の4回転へ向けて心配になるとは思いますけど、今回はいい意味で『後半は後半だ』とある程度割り切れたと思う」と、前向きだ。

 ただし、重要な得点源であり得意とするトリプルアクセルからの連続ジャンプは、最初の2連続は後半が2回転トーループになってしまった。続く3連続ジャンプは最初のトリプルアクセルも、重心が下に落ちてしまう着氷になり、予定していたセカンドとサードジャンプを付けられなかった。その点について羽生は、「あの(4回転の)失敗のあと、それを少し引きずってしまったのかなという部分もある」と反省を口にする。

 それでも「ループからの3連続は初めて」と言う、次の3回転ループ+1回転ループ+3回転サルコウのコンビネーションで挽回した。「ぶっつけ本番でしたが、アクセル2本の失敗があったからこそ冷静になって、ああいう判断ができたのだと思う」と本人が話すとおり、状況に対応する判断力が光った。

 羽生は、最後の3回転ルッツもきれいに決めて1・4点の加点をもらうと、続く2種類のスピンでともにレベル4を獲得。そして、疲労が出る演技終盤のコリオシークエンスでは力強さと迫力のある滑りを見せて184・05点をマークし、合計277・19点で2位のナム・グエン(カナダ)に36・09点差をつけて優勝した。

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