オータムクラシック優勝。羽生結弦が初戦で手にした収穫とは?

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 だが、試合で4回転を後半に入れる構成のSPに挑戦するのは昨年11月の中国杯以来。やはりその緊張感があったのだろう。冒頭に入れていたイーグルからのトリプルアクセルを完璧に決め、ふたつのスピンもスピードに乗ってこなしたが、後半に入ってすぐの4回転トーループは転倒こそなかったが氷に軽く手をついてしまうミス。回転不足と判定された。そして6分間練習ではきれいな軸で跳んでいた3回転ルッツは軸がやや斜めになってしまい、窮屈な感じでトリプルトーループを付ける形になってしまった。

「4回転トーループもそこまで苦戦しているというわけではないですが、後半に入れると(難しい)......という固定概念が若干あるのかなと思います。あとはタイミングであったり上半身の使い方だったりもありますし、今までとは違うステップを入れてから(のジャンプ)ということも大きな原因かもしれません」と羽生は分析して振り返った。

 最後に力強さとキレのあるステップで流れを取り戻し、演技を終えた羽生の得点は93・14点。グランプリシリーズ初戦のスケートカナダ(10月30日~)へ向けて追い込んでいる状態ということを考えると、上々のスタートだった。

 翌日のフリーは、昼の公式練習ではジャンプの確率が上がっており、試合では冒頭の4回転サルコウは着氷で少し尻を落としながらもこらえ、GOE(出来ばえ点)を1・80点もらう滑り出しとなった。ただ、試合直前の6分間練習まではきれいに決めていた次の4回転トーループは軸が斜めになってしまい、わずかに手をついてしまうジャンプに。さらに、課題にしていた後半の4回転トーループからの連続ジャンプは回転不足になり、転倒してしまった。

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