日本短距離の新星。16歳、サニブラウン・ハキームの将来性

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

「強いですね。まだ高校生ですよ......」

 陸上の日本選手権(新潟)100mで優勝した髙瀬慧(たかせけい/富士通)がそう言って呆れたのが、16歳のサニブラウン・アブデル・ハキーム(城西大城西高)だ。

日本選手権での活躍で、一気に注目を集めているサニブラウン・アブデル・ハキーム日本選手権での活躍で、一気に注目を集めているサニブラウン・アブデル・ハキーム 高校2年生のハキームが、6月26日からの日本選手権の100mと200mでともに2位に食い込み、記録的に低調だった男子短距離の話題を独占した。

 ハキームは、大会最終日の100mで川面聡太(かわつらそうた/ミズノ)と同タイムの10秒40で2位。

「同時にゴールしたので順位はわからなかったけど、最後は何とかねじ込んだという感じ。しっかりまとめられれば優勝もできるのではと思ったけど、シニアの大会は甘くないですね」

 そう話すハキームにとって、今回の日本選手権は貴重な経験の場となったはずだ。ハキームはガーナ人を父に持ち、ハードルでインターハイ出場経験のある日本人の母に薦められ、小学3年から陸上を始めた。彼が才能の片鱗(へんりん)を見せたのは、昨年10月の長崎国体。中3と高1が出場する少年B100mで、ハキームはスタートで出遅れながら伸びやかな走りでトップに立つと、10秒45で優勝したのだ。

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