【月刊・白鵬】横綱が感動した羽生結弦「美しさの原点」 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 そうは言っても、一番、一番、全力を尽くしていく思いに変わりはありません。まして、優勝というのは、一日一番の白星から始まるのですから、初日を迎えたら、その目の前の一番に集中していくだけです。

 そんな変わらぬ信念を持って挑んだ春場所。7日目を終えた時点で、全勝は私と、関脇の照ノ富士、そして平幕の安美錦関の3人となり、11日目から安美錦関が休場すると、優勝争いは完全に私と照ノ富士のふたりに絞られました。

 23歳の照ノ富士はパワーがみなぎっていて、その相撲からは底知れぬ強さを感じました。優勝を争ううえでは、非常に手強い相手だな、と思いましたね。

 迎えた13日目、全勝の私と2敗の照ノ富士との対決が組まれました。勝てば優勝が決まる、この一番。私は、「一気に優勝を決めたい」と思いました。加えて、昨年の九州場所(11月場所)から続く連勝も36まで伸びていて、「このまま連勝記録を伸ばしたい」という気持ちも強かったですね。

 しかし結果は、照ノ富士の寄り切り勝ち。いろいろな思いを抱いて、「勝ちたい」という気持ち、その欲が強くなり過ぎたのかもしれません。

 翌14日目も、照ノ富士は話題の逸ノ城に勝利。4分に届こうかという長い相撲を制して、鳥取城北高校の先輩としての貫録を示しました。

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