羽生結弦が「今日の僕のステップどうでした?」と逆質問した心理

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 ジャンプはともに、GOEの加点が2・71点。羽生は「4回転トーループでトリプルアクセルと同じくらいの加点をもらえたのはうれしいです。そう考えるとやっと自分らしいトーループを跳べるようになったのかなと思います」と話す。

 その後、今シーズン苦しんでいる3回転ルッツで着氷を乱し、強引につけた3回転トーループで転倒。それでも、ミスをそれだけに抑えると最後までスピードは衰えず、ステップとスピンはレベル4の評価を獲得。演技構成点では46・29点を獲得。今季SPの自己最高となる96・27点を獲得した。

 ただ、羽生は演技終了後、真っ先に「本当に悔しいです」という言葉を口にした。

演技後、少し悔しそうな表情を見せた羽生結弦演技後、少し悔しそうな表情を見せた羽生結弦「今回はルッツの練習をしっかりやってきていたんです。世界選手権ではSP、フリーともに決めていたし、いい状態できていた。現地(東京)入りしてからの練習で、ルッツは1回もミスがなかったけど、試合になるとなかなか難しいものですね。もっと練習します。今日はあまりにも、ルッツの前のスピードがなかったなと思います。4回転トーループとトリプルアクセルがきれいに入ったのは良かったけど、それ以上にルッツのミスが悔しかったです」

 ルッツ失敗の要因を羽生はこう分析する。

「ルッツに入る前に、ターンやクロスで自分がスピードを上げられる機会は3歩しかない。そこがうまくハマりきらないというか......。そう考えると、自分は少ない歩数でトップスピードに持っていく技術がまだないのかなと。シーズンを通してスピードとエッジの使い方に関する努力が足りなかったのかなとも思います」

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