長いトンネルを抜けたベテランたち。柔道ニッポンへ復活の兆し

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 昨年12月のグランドスラム東京(GS東京)では、新旧頂上決戦をともに新勢力が制した女子48kg以下級と、男子66kg以下級。8月の世界選手権日本代表最終選考会となった全日本体重別選手権(4月4日~5日)では、ともに実績優位のベテラン勢が意地を見せた。

攻めの姿勢を貫き、2年ぶりに全日本体重別選手権を制した浅見八瑠奈攻めの姿勢を貫き、2年ぶりに全日本体重別選手権を制した浅見八瑠奈 2010年、11年と世界選手権を2回制覇した浅見八瑠奈(コマツ)と、昨年、世界選手権初制覇とGS東京では、浅見を下して優勝した近藤亜美(三井住友海上)の戦いに注目が集まった初日の女子48kg級。浅見は1回戦、格下の濱田早萌(龍谷大)を相手に苦戦を強いられた。開始1分01秒で小外刈りの有効を奪いながらも、攻めきれずそのポイントで優勢勝ちという結果になった。

 それに対して近藤は蓬田智佳(JR東日本)を相手に開始1分08秒、払腰で有効を取ると、その後も攻め続けて終了26秒前には小外刈りで1本を取って勝ち上がった。

 浅見も2回戦からは攻めの柔道を取り戻し、近藤との決勝に臨んだが、開始1分15秒に「消極的」と指導を受けて劣勢に回ってしまう。それでも、そこから気持ちを切り換えて攻めの姿勢を取り戻すと、有効にはならなかったが、2分38秒には小外刈りで近藤を倒し、さらにその19秒後には体落としで有効を奪って逆転。そのまま攻めきると2年ぶりの優勝を果たした。

「近藤さんが第一候補だから、私は勝たなければ代表には選ばれない。ここからの道は自分で切り拓くしかないと思っていた」

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