世界ジュニア制覇。「賭け」に勝った宇野昌磨が得たもの

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 宇野昌磨にとって4度目の出場となる世界ジュニア選手権(エストニア)。大会前には「これまでの3回は『表彰台は絶対に無理』という状態だったので。今回は上位争いができる状況にいることに感謝して、シーズン最後でありジュニア最後の大会でもあるから、悔いが残らないような試合にしたい」と語っていた。

世界ジュニア選手権で優勝した宇野昌磨世界ジュニア選手権で優勝した宇野昌磨 その宇野が、3月6日(現地時間)のショートプログラム(SP)で、風格さえ感じさせるような演技を見せた。
 
 目標は2月の四大陸選手権ではできなかった、自分が納得できる演技だった。SPは4回転トーループがなく、本人が苦手だというルッツが入った構成だ。最初のトリプルアクセルは、高さと幅のあるジャンプで、出来ばえのGOEでは2.57点の加点をもらう完璧な出来だった。

 そこで波に乗ると、後半に入ってすぐの3回転ルッツの着氷で少し重心を後ろ側にずらしてしてしまったが、GOEでは減点なしに止め、続く3回転フリップからの連続ジャンプは完璧に決めた。それ以外でもスピンとステップはすべてレベル4と丁寧にまとめた。

 エッジを効かせた滑りは自信にあふれ、重厚感さえ感じさせた。2位に4点近い差をつけた技術点だけではなく、演技構成点でもただひとり、5項目のすべてで7点台の評価を得て、84.87点を獲得。2位のアディアン・ピトキーエフ(ロシア)に7.93点差をつける完璧な発進となったのだ。

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