【大相撲】人気回復の影に、相撲協会女性職員の奮闘あり!

  • 福留崇広●文 text by Fukutome Takahiro
  • 織田桂子 ●写真 photo by Oda Keiko

 2014年は大相撲の人気が右肩上がりで回復した1年だった。秋場所では、若貴全盛時代の1996年以来18年ぶりに14日間の満員御礼を記録。さらに例年、深刻な不入りが続いていた九州場所でも17年ぶりに、7日間に渡り満員御礼の垂れ幕が下がった。年6場所合計の大入りは58日間となり、これも97年(77日間)以来の多さとなった。

 「遠藤関にお姫様抱っこ」。この企画も日本相撲協会職員、加藤里実さんの発案! 「遠藤関にお姫様抱っこ」。この企画も日本相撲協会職員、加藤里実さんの発案!

 活気が戻ってきた土俵に、北の湖理事長は「新しい顔ぶれが上位に上がってきて、ファンのみなさまが興味を持つ取組が増えたことが大きい」と話す。振り返ると上半期は遠藤(追手風部屋)が台頭し、3月の春場所で初の上位との対決が実現した。

 ただ、遠藤は横綱、大関の壁に苦しんで伸び悩み、その後人気が停滞。そんな時に怪物、逸ノ城(湊部屋)が出現。新入幕の9月場所で13勝を挙げ、11月場所で一気に関脇に昇進とスピード出世を果たし、成績も勝ち越した。

 他にも照ノ富士(伊勢ヶ濱部屋)ら、将来が期待されるフレッシュな新顔が幕内上位に進出し、連日、横綱、大関戦が新鮮で緊迫感あふれる取組になった。さらに新顔だけでなくベテランも奮起した。夏場所で鶴竜(井筒部屋)が横綱に昇進、秋には豪栄道(境川部屋)が新大関となり、上位の番付も劇的に変化した。これはひとえに日々、地道に積み重ねた多くの力士の精進と指導する師匠の努力の賜物だ。その結果、多くのファンが国技館に足を運んだ。土俵の活性化が人気回復の原動力となったことは紛れもない事実だろう。

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