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【水泳】未完成の渡部香生子、それでもメダル5つの衝撃 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by (C)Takao Fujita / PHOTO KISHIMOTO

 泳ぎの技術的な面では、現在の渡部の筋力を考えて、あまり大きな泳ぎは求めず、ある程度テンポを上げてそれをキープするという泳ぎを柱にしながら微調整をしている状態だという。ただ、200mで目標にしている2分20秒突破を実現するためには、100mのスピードアップも大きな課題になる。その辺りは今後、筋力トレーニングがしっかり出来る様になってから追い求めていくものだろうと竹村コーチは言う。

「個人メドレーをやらせているのは、練習である程度負荷をかけるという目的もあります。それに平泳ぎだけだと少しレベルが上がり始める時には肘や背中、膝に痛みがでたりするんですね。そういったことを防ぐために個人メドレーの練習を取り入れているけど、せっかくやるなら試合にも出たいだろうから。個人メドレーの課題はハッキリしているから、背泳ぎのラップをあと1秒速くして33秒台前半にすれば2分9秒台も見えてくる。そうなれば世界でも尻尾くらいは見えてくると思うんです」

 渡部が選手として完成の域に達するのはリオデジャネイロ五輪かもしれないし、東京五輪なのかもしれないと竹村コーチは言う。だが渡部自身は、ロンドン組が何人か引退した女子チームの中で、自分が若い選手たちの柱になって引っ張っていく立場だとも自覚している。

 まだまだといいながらも、今年は精神面での成長を見せて安定した成績を残している。男子で活躍している萩野や入江とともに、日本チームの柱になっていかなければいけない存在だ。

 今大会は平泳ぎ、個人メドレー、メドレーリレー以外に、400mリレーの表彰台に2位で上がったことも、「複数種目に出るというのは萩野くんから始まったと思うけど、そういう選手を見ていると『カッコいいな、自分もなりたいな』と思う」と言って微笑む。

 そんな意識を持ちながら、今年はパンパシに続いてアジア大会でも金メダルを獲得し、着実に一歩ずつ階段を上がっている渡部。彼女が秘める可能性への期待は、ますます大きくなってきた。

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