バドミントン男子団体、世界一までの「10年計画」 (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by REUTERS /AFLO

 そこで日本バドミントン協会は、ダブルスで五輪、世界選手権を制覇し、引退後は各国のコーチを務めていた、"ダブルスの神様"とも称される韓国の朴柱奉(パク・ジュボン)氏をヘッドコーチに招聘。朴コーチは、それまで日本が五輪出場権を獲得するために行なっていた、格下の国際試合に数多く出てポイントを稼ぐ手法を廃した。逆に、最高峰のスーパーリーグに挑戦しながら世界のトップの戦い方を肌で感じることで、選手たちに「世界と戦う」という意識を身につけさせた。

 その取り組みは、07年世界選手権では小椋久美子/潮田玲子(三洋電機)と池田信太郎/坂本修一(日本ユニシス)の銅メダル獲得につながり、08年北京五輪では男子ダブルス舛田圭太/大束忠司(トナミ運輸)の5位や、女子ダブルス末綱聡子/前田美順(NEC九州・山口)の4位、小椋/潮田の5位につながった。

 さらにシングルスでも佐藤翔治(NTT東日本)と廣瀬のベスト16入りという結果になって表れた。

 その勢いは止まることなく、12年ロンドン五輪での藤井瑞希/垣岩令佳(ルネサス)の銀メダル獲得へと結実していく。

 またそれだけではなく、朴ヘッドコーチの一環指導は、12年世界ジュニアの桃田と奥原希望の男女アベック優勝に始まり、13年世界ジュニア女子シングルスの山口茜と大堀彩の金・銀獲得。

 さらに今年は山口の連覇と大堀の3位に加え、男子ダブルス玉手勝輝/中田政秀(埼玉栄高)では銀メダル、混合ダブルス渡辺勇大/東野有沙(富岡高)では銅メダルを獲得。混合団体でも12年の2位以降、13年と14年は3位と、着実に次世代の底上げも実を結んできた。

 今大会の男子団体優勝と女子団体2位の成果も、そのジュニア世代の桃田や山口の活躍あってのもの。アテネ五輪後からのじっくりと腰を据えた強化で、ベテランと中堅、若手のバランスが上手く取れ始めた日本バドミントン界。これからの期待は今回の快挙達成で、ますます膨らんできた。

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