【アイスホッケー】嗚呼、スマイルジャパンの夢を奪った「幻のゴール」

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva photo by JMPA

 日本時間の2月11日深夜、日本人選手のメダル獲得を待ち望むファンが大いに沸いた。スノーボード男子ハーフパイプで15歳の平野歩夢が銀、18歳の平野卓が銅メダルを獲得。一方、金メダルの大本命と言われていた女子ジャンプの17歳・高梨沙羅が、まさかの4位に終わった。翌朝、国内メディアはこのふたつのニュースを大きく報じ、日本中が10代の五輪アスリートに目を奪われた。

ロシア戦後、応援してくれた観客に向かって頭を下げるスマイルジャパンロシア戦後、応援してくれた観客に向かって頭を下げるスマイルジャパン しかし、同じく深夜にあったもうひとつの衝撃的なニュースは、意外なほどクローズアップされることはなかった。アイスホッケー女子・予選リーグB組第2戦、日本対ロシア――。同点ゴールと思われた判定が認められず、日本は決勝トーナメント進出の夢を絶たれたのである。

 アイスホッケー女子日本代表チーム――通称「スマイルジャパン」は、1998年の長野五輪以来16年ぶりとなる出場権を掴み取り、ソチの大舞台での飛躍を期待されていた。世界ランキング1位のカナダと2位のアメリカの実力は抜きん出ているものの、それ以下国々の実力は拮抗状態。世界ランキング10位の日本がメダルを獲得する可能性も十分に考えられた。

 そのためにも、まずは決勝トーナメントに駒を進めなくてはならない。予選リーグ第1戦、世界ランキング6位のスウェーデンと対戦した日本は、惜しくも0-1で敗戦。勝ち点を積み上げることはできなかった。よって次戦のロシア戦では、是が非でも勝つか引き分けて、第3戦以降に望みをつなげなければならなかった。

 第1ピリオドの11分39秒、日本はロシアFWブリナに先制ゴールを許し、1点のビハインドを背負うことになる。しかし、日本は試合内容で終始、押されていたわけではない。スマイルジャパンのキャプテンを務めるFW大澤ちほが、「スウェーデンより当たりが強くないのでやりやすい」と試合前に語ったように、世界ランキング4位のロシア相手に持ち前のスピードとパスワークで対抗。同点にするチャンスを虎視眈々と狙った。

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