ソチ五輪は混戦!?髙梨沙羅が急成長のライバルたちに危機感

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真photo by Tsukida Jun

 ノルウェー・リレハンメルでスタートしたW杯は12月6日、男女混合団体が行なわれた。メンバーは、1番手伊藤有希、2番手伊東大貴、3番手高梨沙羅、4番手竹内択で臨んだ。

 高梨の1本目は激しく降る雪が助走レーンに溜まり、滑りが悪くなってスピードが上がらない上に、難しい風の条件。その中で、91mしか飛距離を伸ばせなかった。

ソチ五輪を2カ月後に控え開幕したW杯。その初戦から優勝を果たした高梨沙羅ソチ五輪を2カ月後に控え開幕したW杯。その初戦から優勝を果たした高梨沙羅 その高梨を含む3番手のグループでは、92mを飛んだオーストリアのダニエラ・イラシュコに次ぐ、2番目の得点。しかし、日本チームもこの時点で4位といまいち乗り切れない様子だった。

「この雪だと2本目は無いですね。私のダメなジャンプでチームの脚を引っ張ってしまいました」と言う高梨は、4番手の竹内拓が104mの大ジャンプで順位を2位にあげたのを素直に喜んではいたが、納得できない表情を見せていた。

 しかしその後、雪は小降りになって競技は続行。日本は1番手の伊藤が96. 5mを飛び、オーストリアを0. 2点抑えてトップに立った。続く2番手の伊東が順位を2位に落としたが、3番手の高梨は条件にも恵まれて100mまで飛距離を伸ばしてトップを奪い返す。最後の竹内もグループ1位のジャンプでW杯混合団体初戦を制した。

「2本目はいい条件で飛ばせてもらえたと思うけど、内容的にも自分の中ではまあ納得のいくものだったので、満足してガッツポーズを出してしまいました。1本目は悪条件で飛ぶことを今のうちに体験できて良かったと思うし、2本目も飛べていい感触で終われたのは良かったですね。明日の個人戦はしっかり臨みたいと思います」

 緊張しがちな開幕戦が、プレッシャーの少ない団体戦であったことは幸運だったという高梨。良い感触を掴んだ2本目のジャンプでそれまでのモヤモヤした気持ちも吹き飛ばした。

 その収穫は、翌7日の個人戦で実を結んだ。強風のために予定が遅れた上、長時間の中断があった予選は強い向かい風の中の試合だったが、本戦になるといきなり弱い追い風の条件に変わった。その中で高梨は1本目、ヒルサイズ(100m)超えの102mを飛んでトップに立った。飛距離こそ実力者のダニエラ・イラシュコ(オーストリア)に0.5m負けたが、向かい風の条件だったイラシュコに対して高梨は弱い追い風。そのウインドファクター差に加え、課題だったテレマークをきっちりと決めて飛型点でも上回った。

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