【スピードスケート】妹を追いかけてきた姉、高木菜那が花開く

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Wataru NINOMIYA/PHOTO KISHIMOTO

3000mで表彰台に上がった、左から菊池彩花(富士急行)、高木菜那(日本電産サンキョー)、石澤志穂(トランシス)3000mで表彰台に上がった、左から菊池彩花(富士急行)、高木菜那(日本電産サンキョー)、石澤志穂(トランシス)  長野市のエムウエーブで10月25日から27日まで開催された、全日本スピードスケート距離別選手権。W杯第1戦から4戦までの代表選考を兼ねるこの大会、初日の1500mで従来の国内最高記録(1分58秒91/小平奈緒/2011年)を上回る1分58秒70を出し、菊池彩花(富士急)と田畑真紀(ダイチ)に次ぐ3位ながら、初のW杯出場を確実にして場内を驚かせたのは高木菜那(日本電産サンキョー)だった。

「先週のトライアルは股関節痛で出られなかったから不安もあって、すごく緊張しました。W杯に選ばれる5番以内に入れたらいいなと思っていたから、表彰台に上がれたのはビックリでした。ラスト1周は力んで足が止まったかなと思ったけど、狙っていた1分58秒台が出せてよかった」と笑顔を見せていた。

 その勢いは、そこだけで止まらなかった。2日目の女子3000mでは、初日の1500mの優勝者であり、バンクーバー五輪後からW杯に出場している実力者の菊池を相手にすばらしい滑りを見せる。中盤では1秒以上つけられていた差をジワジワと詰め、2200mから34秒台にラップを落とした菊池を33秒52、33秒34と一気に追い上げると最終周回で逆転し、4分10秒04で初優勝を飾ったのだ。

「ラストのラップを上げられたらいいなと思っていたけど、正直上げられる自信は無くて。でも同走の菊池さんがちょうどいいところにいてくれたから、ラスト2周が持ったのかなというのはあります。正直優勝できるとは思っていなかったけど、3000mも滑れるような力がついてきたということを自信にして、これからの練習につなげていきたい」と初優勝に驚きを隠せない様子だった。

 こんな活躍をみせた高木は、北海道帯広南商業高校から日本電産サンキョーに入って3年目の21歳。妹は中3でバンクーバー五輪に出場した高木美帆(日体大)だ。妹が身長163.5cmなのに対し、155cmの46.5kgとスケート選手の中でも小柄な姉。

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