五輪招致成功の要因は何だったのか?東京圧勝の舞台裏

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • photo by AP/AFLO,YUTAKA/AFLO SPORT

 2020年夏季五輪の開催都市に東京が決まった。投票後、東京招致委理事長の竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)会長は興奮気味だった。

「本当にうれしかったですね。ドキドキしながら、結果を見ていました。みんなで東京招致を何とか成功させようと頑張った努力の成果だと思います。どの人の努力が欠けていても、招致成功はなかったと思います」

東京が五輪開催地に決定したことを発表するジャック・ロゲIOC会長東京が五輪開催地に決定したことを発表するジャック・ロゲIOC会長 つまりは『総合力』の勝利だった。舞台裏をのぞけば、綿密な開催計画を練り上げたあと、竹田会長を中心とした無数の人々がしつこく丁寧にIOC委員を説得していった。

 スポーツ界だけでなく、政界も、財界も、そして皇室もがロビー活動に参加した。最終プレゼンテーションで勝利のカギのひとつとなった安倍晋三首相の「福島第一原発の汚染水漏れ」に対する真摯な発言も、東京シンパのIOC委員からアドバイスを受けたものだった。

 ブエノスアイレス。投票前日、招致委幹部の票読みでは東京は「40から45」だった。マドリードが「30から35」、イスタンブールは「10から15」だったという。

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