【世界水泳】メダル6個もトビウオジャパンに新戦力が台頭

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 平泳ぎ200mに出場した立石は、春の間、準備不足で体調が上がらず、この大会も後半の泳ぎに不安を持っていた。それにもかかわらず決勝へ進出すると、攻めの泳ぎをした。8位に止まったとはいえ、気迫の復活で、今後への期待を持たせてくれた。

 そして、北島は平泳ぎ100mと50mに出場。100mの決勝では前半から勝負を仕掛け、50mを28秒04で突っ込んだが、ゴールタイムは59秒98で6位だった。さらに、メドレーリレーにも出場すると、59秒29のラップタイムで泳ぎ、銅メダル獲得に貢献した。

「100%世界選手権に集中して水泳に取り組み始めたわけではなく、なんとも複雑な気持ちでやり始めたら、あれよあれよという間に代表になって。それから若手の力や平井コーチの力で『やらなきゃいけないよ』という気持ちにさせてもらった。記録や順位はすごい低いが、ここまでの歩みを考えると上出来」と北島は振り返った。

「全体的にみれば、日本選手権やジャパンオープンで良かった選手がそのままきたという感じですね。でも悪かったなかでも、立石諒や北島康介が決勝進出を果たせるまで調子を上げてきたのは立派。そういうのはうまいなと思います」と平井ヘッドコーチ。

 また、世界記録を出して以降は苦しみ続けている平泳ぎの山口観弘も100mは予選20位で敗退しながら、同学年の萩野の活躍をみて発奮。200mでは決勝に進出すると、7位とはいえ予選、準決勝からしっかり記録を上げ続ける2分9秒57を出した。「タイムを上げたのは最低ラインの務め。この半年間苦しんできたけど、これで少しは突破口も見えた感じ。短い期間でここまで持ってこれたことはすごい自信になります」と復活への手応えをつかんだ。

 相対的には、リオデジャネイロ五輪へ向けては高得点とはいえない結果だが、瀬戸や萩野の活躍と、山口の復調の気配でゴールデンエイジの先行きは明るい。さらにこれで男子自由形短距離に火がつけば、大きな勢力として日本チームを盛り上げていくはずだ。あとは今回の大会であまり目立たなかった、女子若手の台頭を期待したいところだ。

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