ソチ五輪シーズン直前。18歳・羽生結弦が「本気モード」に突入 (2ページ目)
そして、最終日30日の公演では、ルッツはわずかに乱れただけで、トリプルアクセルをきれいに決めてガッツポーズが飛び出すなど、新しいシーズンへ向けて、徐々に気持ちもフィジカルコンディションも高まってきている。
「今季に向けて、ふたつの心境があります。ひとつは昔から憧れて夢見ていた五輪という舞台を目指すことで、すごくワクワクしながら緊張している自分がいる。そしてもう一方では、シーズンへ向けてしっかりと練習していなければいけないと思う自分がいる。その両方の自分をしっかり保ちつつ、ワクワクすることや緊張することを大事にして、ひとつひとつの試合に臨み、五輪までのプロセスを大事にしたいと思います」
羽生にとって、五輪は「あの舞台で金メダルを獲りたい」と、子どもの頃から憧れている場所だ。仙台生まれである羽生の同郷の先輩・荒川静香が06年トリノ五輪で優勝し、その夢を大きく膨らませてくれた。
「あの舞台に立ちたいと思うし、そこで自分がどういう演技をできるかと考えてワクワクしています。ただ、五輪に出るには熾烈な争いが待っている。最終選考会の全日本選手権もそうですけど、その前のひとつひとつの試合でしっかりと高い得点を取ることや世界ランキングを上げることも(選考に)考慮されると思うから、そこもしっかりクリアしながら、ケガをしないで万全のコンディションでやりたいと思います」
羽生は2012年3月の世界選手権(フランス)で3位になったが、試合直前に捻挫をしてしまい、万全の体調ではなかった。そして今年3月の世界選手権(カナダ)では直前に風邪をひいて休んでしまい、練習再開時に無理をした結果、膝を痛めた状態で臨まなければならなかった。世界選手権という大事な大会前の調整を2年連続で失敗してしまったため、ソチ五輪では「同じミスを繰り返すわけにはいかない」と、表情を引き締める。
「昨シーズンは膝を痛めてしまったのですが、それはなかなか完治するようなケガではないので、うまく付き合っていくしかないと思っています。ケガ防止のためのアイシングは注意してやっていますし、以前はそれほど意識していなかったストレッチも重視するようになりました。太股の筋肉や、それを支える上半身の筋力などにもフォーカスしてトレーニングをやっていますし、体調管理にも自信があります」
五輪シーズンの新しいプログラムは、4回転ジャンプの本数は昨季と同じで、SP1回、フリー2回のまま変更しない予定。本数を増やすよりも、スケーティングやスピン、コンビネーションなどの面でまだまだ改良の余地があると考えているからだ。
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