横綱・白鵬から新社会人に送るメッセージ「日本のことをもっと知ってほしい」

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

北の湖に並ぶ、24回目の優勝を飾った白鵬。心身ともに充実している。北の湖に並ぶ、24回目の優勝を飾った白鵬。心身ともに充実している。第25回:日本の若者

今年も多くの学生たちが
社会人の仲間入りを果たした。
日本の将来を担う彼らに、
横綱がエールを送る――。

 先の春場所(3月場所)では、北の湖理事長(元横綱・北の湖)の持つ、24回という記録に並ぶ優勝を、全勝で飾ることができました。

「24」という数字は、目標としていたものでした。そのうえ、初場所(1月場所)中に尊敬していた大鵬さん(元横綱・大鵬)が急逝され、なんとか早く、大鵬さんに捧げる優勝を果たしたいと思っていました。それだけに、記録達成の瞬間は、感慨深いものがありましたね。千秋楽の表彰式では、府立体育館に詰めかけた観客の方々と一緒に黙祷もさせていただき、記憶に残る優勝になりました。

 いい結果を出せた要因は、春場所前の稽古がしっかりとこなせたことが大きかったですね。さらに、「大阪はゲンがいい場所」と、自分自身に言い聞かせていたことも良かったのでしょう。初日、曲者の安美錦との相撲ではやや苦戦しましたが、それ以外はおおよそ自分の相撲が取れたと思います。

 また、自分の優勝以上に喜ばしいことが、春場所ではありました。前回のコラムで紹介した(『春になると思い出す、12年前の出来事』3月10日配信)、私の内弟子である石浦(宮城野部屋)が、序ノ口で全勝優勝を果たしたことです。

 石浦にとって、初めて番付に四股名が載った記念すべき場所。お互いに全勝で勝ち進んでいく中で、「ともに、13日目で優勝を決めような」と約束し、見事にその通りの結果を出してくれました。本当にうれしかったですね。それも含めて、私にとっては、久しぶりに納得のいく15日間となりました。

 さて、4月と言えば、世間では入社、入学の季節。町中で、真新しいスーツに身を包んで会社に向かう新入社員の姿を見かけると、希望に満ちあふれていて、とても清々しく感じます。

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