【箱根駅伝】有力校に誤算続出。日体大30年ぶりVの要因は?

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Wataru NINOMIYA/PHOTO KISHIMOTO

ガッツポーズでゴールインした日体大のアンカー、谷永雄一(4年)ガッツポーズでゴールインした日体大のアンカー、谷永雄一(4年) 東洋大と駒大の2強に、早大や青学大がどう絡むかと注目されていた今年の箱根駅伝。強い向かい風が吹く中でスタートしたレースは、1区から有力校に誤算が続出する波乱の大会となった。

 最初に躓(つまず)いたのは青学大だった。優勝候補の筆頭・東洋大の田口雅也(2年)が7.3km過ぎから先頭に立ってペースを上げると、遠藤正人(3年)が苦しくなる。8km過ぎまでは我慢したが、そこから脱落した。

「一番調子がよかったので誤算。あそこですべてが終わった」と原晋監督が言う通り、青学の1区上位キープは絶対条件だった。エース出岐雄大(4年)の調子が戻らなかったために復路に回し、2区には出雲駅伝4区区間賞の大谷遼太郎(4年)を起用。苦しい戦いとなる中で、3区の大型ルーキー、久保田和真(1年)で主導権を握るには、1区、2区は何としても上位で粘らなければいけなかった。だが、そんな目論見(もくろみ)は早々と崩れ去った。

 続いて誤算が出たのは早大だった。「確実に行くなら彼」と渡辺康幸監督が自信を持って1区に起用した前田悠貴(4年)が9km過ぎから遅れ始めたのだ。

 渡辺監督の中には、前田を9区に置くという構想があった。大迫傑(3年)と山本修平(2年)の力を信じ、往路で作ったアドバンテージを維持して総合優勝を果たすという狙いがあったからだ。だが前田は11月19日の上尾ハーフ後にシンスプリント(脛骨疲労性骨膜炎)になり、万全ではなかった。そのため距離が比較的短い1区を確実に走り、3区の大迫で大きく飛び出し、風がなければ1時間17分台で走れると信頼していた5区の山本で大差をつけて勝負を決めようとする往路型の作戦に変更したのだ。

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