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別次元の戦い。羽生結弦と髙橋大輔が生み出す頂点への推進力 (2ページ目)

  • 折山淑美●文・取材 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

ブライアン・オーサーコーチのもとで成長を続ける羽生ブライアン・オーサーコーチのもとで成長を続ける羽生「ショートで点差をつけられた悔しさもあったし、全日本独特の緊張感もあったけど、あそこまで開いたら思い切りやって最高のパフォーマンスをするしかないと思った」という髙橋は、最初の4回転トーループを成功させると、続く4回転トーループはわずかに回転不足ながらも2回転トーループを付けて連続ジャンプにすることに成功。

 その後は「テンションが上がり過ぎてステップシークエンスでも要素をいくつか飛ばしてしまったし、終盤のコリオシークエンスには早いタイミングで入り過ぎてしまって......。恥ずかしかったけど適当な動きでつなぎました(苦笑)」と言いながらも、その気迫が観客まで巻き込む圧巻の演技となった。

 そして最後は「細かなミスがあって完璧ではなかったけど、4回転を2本成功させられたし、思い切り滑りきることができたから」と、両手を3回も突き上げるガッツポーズでプログラムを締めくくったのだ。

 フリーの得点は192・36の高得点。合計得点も280・40点というハイレベルなものにして羽生へプレッシャーをかけた。

 だが、羽生も踏ん張ってその重圧に負けなかった。NHK杯ではフリーの終盤にスタミナ不足でヘロヘロになり、GPファイナルでは4回転サルコウが2回転になる失敗をしていたが、冒頭の4回転トーループで着地の重心が後方に行き過ぎながらもこらえ、続く4回転サルコウでは尻が大きく沈んで「あわや転倒か」という状態をこらえきった。

 そこで力を使ってしまい、中盤のステップシークエンスからは明らかにスピードが落ちたものの、最後まで丁寧な演技で乗り切った。

 結局、羽生は、技術要素点では髙橋を0・49点上回ったが、芸術要素点ではすべての項目で9点台中盤から後半を出した髙橋に6・30点及ばず、フリーでは2位。しかし、総合点では髙橋を4・83点抑えて全日本選手権初優勝を果たした。

「GPファイナルでサルコウをパンクした(4回転が2回転になった)のが悔しかったが、今回はそれを克服できたと思う。全日本選手権という舞台で表彰台の真ん中に上がれたことに興奮したけど、フリーで2位になったのは悔しいですね。今までずっと先輩方を追いかけてきたけど、フリーでは負けたから実力的にはまだ抜いていないと思います」

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