【マラソン】日本女子マラソンは、なぜここまで低迷してしまったのか

  • 折山淑美●文・取材 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kitagawa Toshihiro

ペースメーカーも追い越して、2時間23分7秒の大会新記録を更新し、優勝したリディア・チェロメイ(ケニア)ペースメーカーも追い越して、2時間23分7秒の大会新記録を更新し、優勝したリディア・チェロメイ(ケニア) ロンドン五輪の惨敗後、どんな再スタートを切るかと注目された11月18日の横浜国際女子マラソン。明るい光りが見えたとはいえない結果になった。

 スタート時の気温は16度とマラソン日和になったが、風速4m前後の風が選手たちを苦しめた。ペースメーカーが10㎞過ぎまでは5㎞16分55秒~17分00秒をほぼ守る走りを見せた。だが折り返して向かい風になるとペースダウン。2時間21分30秒のトップタイムを持つリディア・チェロメイ(ケニア)が13㎞過ぎから「もっとペースを上げろ」と言うようにペースメーカーの前に出るが、ペースアップはしない。それをみて15㎞過ぎから一気にペースをあげて集団を引き離した。しかし、日本人選手は誰も反応せず、16分25秒のペースへと上げたチェロメイに20㎞までに42秒の大差を付けられた。

 その後も5㎞16分台で走るチェロメイに対し、17分22秒、17分41秒と徐々にペースを落とす日本勢はその差を広げられるばかり。35㎞を過ぎて日本人トップを狙う伊藤舞(大塚製薬)と那須川瑞穂(ユニバーサルエンターテインメント)のスパート合戦がテレビ画面では緊迫感を演出したが、その間の5㎞は18分03秒と低レベルな争い。日本人トップとなる2位でゴールした那須川のタイムは、優勝したチェロメイから3分35秒遅れる2時間26分42秒。来年の世界選手権代表候補には躍り出たが、2時間23分59秒以内で日本人1位なら代表内定という選考基準には、遠く及ばない結果に終わった。

 11年世界選手権では2時間26分00秒切りを選考基準にしていた日本陸連。基準記録の引き上げは「世界と戦うためにも、せめてそのくらいの記録に挑戦して欲しい」という気持ちの表れだ。

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