【水泳】松田丈志と入江陵介、「怪物」との距離は縮まったか

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • アフロ●写真 photo by AFLO

6月15日、セッテコリ国際(ローマ)、100m背泳ぎで優勝した入江陵介6月15日、セッテコリ国際(ローマ)、100m背泳ぎで優勝した入江陵介 大黒柱・北島康介を継ぐ存在として自他とも認める、バタフライの松田丈志と背泳ぎの入江陵介。彼らがともに意識するのは、真の後継者となるためには北島と同じ"五輪の金"を手にしなくてはいけないということだ。北京五輪後、ふたりはそれを目標にしてきた。

 だがふたりの前には奇しくも、同じような大きな壁が立ちはだかっている。200mバタフライの松田には北京8冠の怪物、マイケル・フェルプスが。そして王者アーロン・ピアソルの引退で空席ができたかと思えた背泳ぎでも、入江の専門種目である200mには、昨年、世界選手権で5冠を達成した新怪物ライアン・ロクテが登場したのだ。

 世界選手権ではともに悔しい思いをした。北京五輪の銅メダル以来、打倒・フェルプスを目指してスピード強化をしてきた松田は、100mバタフライの王者でもあるフェルプスに前半から食らいつき、150mのターンでは0秒05先行する展開に持ち込んだ。だが、かつては1500m自由形を専門にし、自信を持っていたラスト50mで突き放され、0秒67差の1分54秒01で2位に甘んじることになった。

 松田は「100mで並んでいたので、今回はフェルプスに勝てるチャンスがあるかもしれないと思っていた。その分、負けたのが悔しい」と、唇を噛んだ。

 一方の入江はもっと悔しい負け方をした。多種目を泳いで疲れもあるはずのロクテにスタートから先行されると、自信を持っていたラスト50mでもさらに突き放されて、1秒以上の差をつけられての2位だったのだ。

「優勝タイムは1分53秒台前半と考えていたのに、それ以上の1分52秒96でいかれた。自分の記録は1分54秒11で4月の選考会より落としているし、もし自分が53秒台を出していても勝てなかった」と、ショックを露(あらわ)にしていた。

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