【スキージャンプ】W杯で「サラ対決」に初勝利。15歳・高梨沙羅の成長が止まらない

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純/アフロスポーツ●撮影 photo by Tsukida Jun/AFLO SPORT

W杯第12戦で初優勝した高梨沙羅。翌日の13戦はサラ・ヘンドリクス(写真左)が優勝し高梨は2位W杯第12戦で初優勝した高梨沙羅。翌日の13戦はサラ・ヘンドリクス(写真左)が優勝し高梨は2位 3月3日に第12戦、4日に第13戦が行なわれた女子ジャンプW杯蔵王大会、初日の午後。ジャンプ台整備のために延ばされていた2本目の開始時間が知らされたのは午後3時過ぎだった。トライアルジャンパーが跳び始めると、高梨沙羅は緊張した表情でジャンプ台へ上がろうと歩き出した。

 その時、「2本目のジャンプは中止」というアナウンスが流れた。助走路の溝の氷が溶け出していて、整備をしたが競技ができる状態にはならなかったためだ。

 チームメイトに呼びとめられて中止を知らされた彼女は表情を一変させて喜び、駆け寄ってきた選手たちに祝福された。1本目に102.5mの大ジャンプをしてトップに立っていた高梨のW杯初優勝が決まった瞬間だった。

 悪天候でキャンセルになった1月末のポーランド大会の代替開催も含め、2日間で3試合が行なわれた今回の蔵王でのW杯。

 高梨は午前中の第11戦で98.5mと99.5mを飛びながらも、99.5mと95.5mを飛んだサラ・ヘンドリクソン(アメリカ)に飛型点で上回られ、1.1点差で2位に止まっていた。左右の足を前後にして着地するテレマーク姿勢をとれずに減点されたのだ。遠征続きで両足のすねの痛みがひどくなり、鍼と灸で治療をしなければいけない状態だったため、うまく踏み出せなくなっていたことが影響していた。

「ジャンプは良かったけど、(着地で)テレマークを入れられなかったのが残念。自分はテレマークが下手くそなんです」と悔しそうな表情を見せた高梨だったが、午後に開催の第12戦では確実に入れたいと話した。

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