【カーリング】市川美余、本橋麻里が合体!? ソチ五輪へ真の「代表」結成も?

  • 竹田聡一郎●文 text&photo by Takeda Soichiro

大会連覇を果たして笑顔を見せる中部電力の面々。日本代表として五輪切符獲得へ意欲を見せるが......。大会連覇を果たして笑顔を見せる中部電力の面々。日本代表として五輪切符獲得へ意欲を見せるが......。 第29回日本カーリング選手権は、中部電力の連覇で幕を閉じた。

 ソルトレイク、トリノの両五輪で日本代表の中心だった小笠原歩(旧姓・小野寺)と船山弓枝(旧姓・林)が率いる北海道銀行フォルティウスをはじめ、本橋麻里擁するロコ・ソラーレ北見に、王座奪還を狙うチーム青森など、実力チームがズラリと顔をそろえ、「史上最大の混戦」「カーリング戦国時代」と言われた今大会。しかし蓋(ふた)を開けてみれば、王者・中部電力が予選リーグから9戦負けなしの全勝優勝を果たした。6年ぶりに復帰した小笠原が「大会のレベルはすごく上がっている」と実感を込めて語っている中、まさに誰も文句のつけようのない結果を出したと言えるだろう。

 中部電力の主将・市川美余は、優勝会見で笑顔を見せた。
「全勝優勝という結果を出し、日本代表としての力を発揮できた」

 昨年11月、中国・南京で開催されたパシフィック・アジアカーリング選手権(以下PACC)で、中部電力は日本代表として出場しながら最下位に終わった。これによって、3月に行われる世界選手権の出場権と、世界選手権の結果で獲得できるソチ五輪のオリンピックポイントを得る機会を逃すことになった。

 このとき、「日本のみなさんに申し訳ない気持ち。チームとしては得るものがあった大会だったが、ジャパンとしてはこれではいけない」と涙をこらえて語った市川。周囲には「ソチ五輪、黄信号」と騒がれ、悔しい思いをした。

 今回の日本選手権では、その屈辱を何としても晴らしたかった。そのためには、"日本代表"として、中部電力の強さを証明するしかなかった。そしてその後、日本代表として再び世界に挑んで、今度こそ勝利を手にするためにも、市川がずっとこだわっていたのは「全勝優勝」だった。

 はたして「満足度は110%です」と本人も納得の完全優勝。彼女が思い描いたシナリオどおり、その第一段階を見事にクリアした。

 ただ、そのシナリオの先は、彼女の意に反して暗雲が立ち込めている。昨年のPACCの敗戦を受けて、日本カーリング協会は、単独チームによる代表方式から、かねてより待望論のあった選抜選手による代表チームの結成を検討中。来季、中部電力が日の丸を背負ってPACCに参加するかどうかは未定だ。佐藤健一カーリング協会強化委員長は「まだ決まってないので何も言えないが、いくつか選択肢はある」とコメントしている。

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