【箱根駅伝】東洋大完全優勝!その勝因とライバルたちの誤算 (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • YUTAKA/アフロスポーツ●写真 photo by YUTAKA/AFLO SPORTS

 さらにライバル校を驚かせたのは2区・設楽啓太の成長だった。タイム的には前回より5秒速いだけの1時間8分4秒だったが、序盤は集団の中でジックリと力を溜め、15㎞過ぎの権太坂の下り始めを利用してスパートする、冷静に計算された走りを見せた。彼がトップでつないだことが、3区・山本憲二(4年)と4区・田口雅也(1年)の余裕を生み、さらには5区・柏原竜二(4年)も余裕を持って最初の5㎞に入れる状況にした。

 柏原は上りに入ってからギアを切り換え、「沿道から3分差、4分差だと聞こえるたびに、それなら4分差にしよう、5分差にまでしようとドンドン欲が出た」という走りで、公言通りに1時間16分台を出し、2位早大に5分07秒の大差を付けた。

 優勝はほぼ確定で迎えた復路でも、東洋大は手を抜かなかった。駅伝でトップを走るチームの、“前半は抑えて後半に上げる”というセオリーを無視して、各区間とも前半から突っ込ませた。それを酒井俊幸監督は「夏合宿では例年よりスピード練習を多くしたことで、距離の短い出雲駅伝で優勝することができた。うちの選手はもともとスピード能力は高くないから、その練習で得た成果をここでも引き出してあげたいという気持だった」と説明する。 

 その結果が、来年のチームの主力となる6区・市川孝徳(3年)の区間賞や7区・設楽悠太(2年)の区間新、さらには駅伝初出場の8区・大津顕杜(2年)のもう少しで区間新となる好走につながったのだ。

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