【1991年9月1日】
日本マラソン界の歴史を塗り替える初の快挙
東京で行なわれた第3回世界陸上は、予想以上の暑さに、多くの選手が悲鳴をあげる大会となった。最終日のマラソンも、「選手生命にかかわりかねない」と、北海道での分離開催が提案されたほど。懸念されたとおり、男子マラソンは午前6時にスタートしたにもかかわらず、気温26度・湿度73%という厳しい残暑との戦いとなった。
レースは先頭グループから脱落者が続出し、日本のエース中山竹通も31キロ付近で足を止める展開に。しかし31歳の谷口浩美は「暑さは気にならない」と、猛暑のレースを耐え続けた。そして、市ヶ谷駅周辺の38キロ地点で、最後の勝負を試みる。沿道に駆けつけた5万3千人の声援に押されるように、谷口は大きく口を開け、首を振りながらラストスパート。4人の先頭集団から抜け出し、四ツ谷駅の交差点で後ろを振り返ると、すでに後続は小さくなっていた。
ゴール手前100メートルでようやく笑みを浮かべた谷口は、両手を広げてガッツポーズ。世界選手権で日本人男子初の金メダルを獲得し、日本マラソン界の歴史を塗り替えた。現在も、世界陸上で優勝した日本人男子マラソン選手は、谷口浩美ただひとりである。
















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