帝京大の成長株・フッカー江良颯が3トライ!「相手のイヤなことをする」プレーで宿敵・早大を撃破 (2ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●撮影 photo by Saito Ryutaro

帝京フッカーの意地で早大・佐藤を圧倒

 江良も佐藤も将来、日本代表入りが有望視される好フッカーである。素材は抜群だ。互いに意識しないわけがない。早大2年の佐藤は今年、ナンバー8からフッカーに転向したばかり。江良は言った。

「フッカーの意地として、(佐藤に)負けられないと思っていた。本当にいい選手だと思っているので、フッカーの意地を見せられたんじゃないかと思います」

 このあと、帝京大はラインアウトからのモールをうまく押し込んで、江良が2本、トライをマークした。圧巻なのは、21歳フッカーの運動量だった。地味だけれど、ピンチになれば、必死でバックアップする。倒れてもすぐ立ち上がり、ディフェンスの穴を埋めていた。

 シーズンの今後のことを考えると、攻守の軸のスクラムで押し勝ったことが大きい。8月の夏合宿の両チームの練習試合では、江良は左足のケガで欠場していたが、その際、早大に押される場面があった。でも、この日は、江良のスクラムワークがいいのだろう、がちっと8人がまとまり、絞り込んだアングルで押した。

 江良はもちろん、8月の試合の映像をチェックした。「自分たちの帝京のスクラムを組み続けるだけでした」。自分たちのスクラムとは、まずは一人ひとりがやるべきことを遂行すること。そして、8人結束。フッカーは両プロップとのバインドをきつく締め、塊となってコントロールするだけだ。まっすぐ、ねじり押す。

 帝京大はヒットで当たり勝って、重量を相手に乗せた。プッシュでぐいと押す。4本のコラプシング(故意に崩す行為)の反則をもぎとった。江良の述懐。

 「一人ひとりやるべきことが明確になってきたおかげで、スクラムが強くなりました。今日は全員がそれをわかっていた。僕は、どこかが崩れていたらすぐに修正する状況判断だったり、8人全員がまとまるように持って行ったり、また何が足りないか周りに伝えられるよう、しっかり練習から考えてやってきました」

 一方、早大の佐藤は完敗を認めた。

「江良選手に勝ちたいと思ってやっていたんですけど、モールからのトライだったり、フィールドプレーのトライだったり、アタック、ディフェンスのところだったり、スクラムワークだったり、やっぱり、まだまだ遠い存在というのがわかりました」

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