【ラグビー】先輩リーチ マイケルの檄。東海大が王者・帝京大に挑む (3ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu  井田新輔●写真 photo by Ida Shinsuke

 公式戦デビューは、「20分間限定」の交代出場だった。その間に2トライ。仲間思いのシャイな20歳が日本語で喜びを表現する。

「試合に出たら、痛くてもやる。(2トライは)満足している。目黒学院の先輩も応援にきていてうれしかった」

 確かにチームの軸はトンガやニュージーランドからの留学生だが、決勝進出はチーム全員のがんばりがあったからこそである。そうは目立たないが、後半ノートライに抑えた個々のタックルと組織立ったディフェンスにも成長の跡が見てとれる。

 チームの成長は「質も量も、ここ10年では1番」と木村監督が言う練習ゆえである。同監督が好む言葉が柔道の創始者、嘉納治五郎の教えのひとつ『力必達(つとむれば、必ず達する)』。努力すれば必ず、優勝することができるという信念だろう。

 武器のモールの練習は、春シーズンが毎日、秋からは週に2、3日、朝6時過ぎから始めた。8時まで続く。さらに東芝、ヤマハ発動機、サントリーへの"出げいこ"。

 特に強力モールで鳴る東芝。12月に行った時は、東海大の先輩となるリーチ マイケル日本代表主将にハッパをかけられた。

「ケンカするつもりでファイトしてこい」

 その練習の激しさは、FWの耳を見ればわかる。ブレイクダウン、タックルで敵味方と擦れるからだろう、藤田主将の両耳は膨れ上がる「ギョウザ耳」となっている。主将がぼそっと漏らす。「今、左耳が沸いています」

 そういえば、リーチにはこうも言われたそうだ。「日本選手権で戦おう。お互い、がんばろう」と。今季の日本選手権はトップリーグ王者と大学日本一が対戦する。つまり、優勝しろ、ということである。

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