河村勇輝がW杯で学んだ「海外に行くうえで必要」なこと 日本バスケは世界基準に (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

【世界基準に近いバスケがBリーグでも展開】

 日本バスケの変化は、コート上でも起こっている。最も目を見開かされるのが、昨季までは外国籍選手たちの独壇場だったBリーグ平均得点ランキング(10月31日時点)で、河村が24.1得点で1位、富樫が21.0得点で4位と、日本人選手が上位にいることだ(元日本代表で島根スサノオマジックのPG安藤誓哉も21.8得点で2位)。

 その背景として、アウトサイド系の外国籍選手が増えたことや、故障者が続出して出場時間が増えた事情もある。ただ、インサイドのビッグマンばかりに頼るのではなく、スペースをより広く取ってスピードを活かしたドライブインや、3Pシュートを多用するスタイルを志向するチームが多くなった影響もあるだろう。

 言い換えれば、日本代表を含めた世界のスタンダードに近いバスケットボールがBリーグでも展開されるようになった、ということだ。河村にしても、富樫にしても、得点が大幅に増えているのは3Pによる得点が増えていることが大きな要因として挙げられる。

 現代バスケットボールでは、シュートの確率もさることながら、3Pをどれだけ打つかが重視される。河村のここまでの1試合平均3P試投数はリーグ3位の10.1本で前年(8.0本)より2本以上多く(一昨年はわずか2.8本だった)、富樫も今季リーグ2位の11.1本で前年より3本近く増えている。

 日本人が個の力で世界と対抗することは難しいため、日本代表を率いるトム・ホーバスHC(ヘッドコーチ)は「ファイブアウト」や「ストレッチフォー」といったアウトサイドからの攻撃を主体とした。さらには2Pよりも1.5倍の価値のある3Pを多用することで、相手よりも多く点を取るスタイルをワールドカップで展開した。

 このスタイルは、コートに立つ5人全員が得点の脅威となる必要がある。河村や富樫のような司令塔を任されるポイントガードの選手たちも、その多分に漏れない。ふたりの得点が大幅に伸びているのも、代表活動での影響があると言える。

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