【NBA】今季必見!全米1位指名の父を持つ2世ガード選手 (2ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko photo by AFLO

 この息子への高評価は、単なる「親ばか発言」と片付けてはいけない。何しろ父のマイカルは、1978年のNBAドラフトで全体1位指名された元NBA選手だからだ。計13年のNBAキャリアの間には、ロサンゼルス・レイカーズで2度の優勝(1987年、1988年)を経験している。当時のチームメイトは、マジック・ジョンソン、そしてカリーム・アブドゥル=ジャバー......。そんな偉大な選手と一緒にプレイしていただけに、「歴史上で最高」であることが、どれだけ大変なことかよく分かっていた。

 クレイにとって父のマイカルは、一番の味方であると同時に、誰よりも遠慮なく率直な意見や感想を言ってくれる相手でもあるという。

「最近、(父が)テキストメッセージの送り方を覚えたから、毎試合後にテキストを送ってくるんだ」と、クレイは笑う。

 マイカルは息子の能力を信じ、常に自信がつくことを言い続けた。クレイが大学1年生のときも、「お前ならNBAドラフトで全体1位指名されるような選手になれる」と言った。

 ただ、一度だけ、NBAに入った後の息子のプレイを心配したことがあったという。それは、3年前のルーキーシーズンで、初めてレイカーズと対戦したときだ。今でもレイカーズのラジオ解説者としてゲームを欠かさず見ている父は、息子がマッチアップすることになったコービー・ブライアントが容赦のない選手であることを知っていた。相手がルーキーであろうと、子どものころから知っているクレイであろうと、コービーは徹底的に叩きのめしにくるはず。その気迫に負けて、力を発揮できない若手プレイヤーを、マイカルは数えきれないほど見てきた。

「でも、クレイは怖気づいていなかった。自分のやるべきことをやれていた。それ以来、息子のことは心配していないんだ」と、父は語る。

 ウォリアーズとの契約延長が成立した直後の対戦相手は、偶然にもレイカーズだった。高額契約が決まり、より多くの注目が集まり、さらに父が放送席から見守る中、クレイは子どものころから憧れてきたコービーを相手に、自己最高の41得点を挙げた。

 息子の活躍を間近で見たマイカルは、最後にこう語った。

「高額契約には、プレイ面でも、行動面でも、さらなる期待が伴う。だが、この契約を得たからといって、彼が変わることはない。今までどおり、努力し続けていくはずだ」

 父親という存在は、常に息子の成功を信じ続けるものである――。

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