【ラグビー】後がなかったサンウルブズ、2019年につながる歴史的1勝

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 勝った。ついに勝った。日本のサンウルブズの待望の勝利である。選手たちは歓喜の輪を作り、スタンドのファンも狂喜乱舞。ノーサイド前から、主将の堀江翔太はもう泣いていた。長いあごひげが涙と汗でぬれる。

「歴史的勝利を日本でできて誇りに思います。ポジティブに、何でもポジティブに前に進もうと。バックスと(フォワードが)ひとつになったと思います」

 試合前、熊本地震による犠牲者に哀悼の意を示す黙とうを捧げた。選手たちは左腕に喪章となる黒色のテープを巻いて戦った。スタンドにはこう書かれた大きな横断幕もあった。<熊本・九州に勇気を>

 堀江主将は安堵の言葉を足した。

「この試合で、何か九州の人たちに勇気を与えたり、元気を与えたりすることができるのであれば、それはうれしいですね」

歓喜のノーサイド。観客の声援に手を上げて応える立川理道(中央)歓喜のノーサイド。観客の声援に手を上げて応える立川理道(中央)

 ラグビーの世界最高峰リーグのスーパーラグビー(SR)。今季初参戦したサンウルブズだが、開幕戦から7連敗となっていた。特に先週の南アフリカでの試合は記録的な大敗(対チーターズ、17-92)を喫した。観客が約1万5千人。1か月ぶりの秩父宮ラグビー場は満員にならなかった。

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