【男子バレー】天国と地獄を知る清水邦広。リオ最終予選に懸ける思い

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro   坂本 清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

 いよいよ1ヶ月後に幕を開ける、バレーボールのリオ五輪世界最終予選。全日本男子のキャプテンは、"ゴリ"の愛称で知られる清水邦広。8年前の北京五輪最終予選では天国を、4年前のロンドン五輪最終予選では地獄を味わった男は、3度目の最終予選を前に何を思うのか。

全日本男子のキャプテン、清水邦広。リオ五輪出場にかける思いを語ってくれた全日本男子のキャプテン、清水邦広。リオ五輪出場にかける思いを語ってくれた
 清水邦広は、まさに天国と地獄を経験した。

「『五輪に出るか出ないかで世界が違う』とよく言われますが、まさにその通りでした。北京五輪出場を決めた時は、本当に多くの人に喜んでいただいて、男子バレー界が活気付くのを肌で感じました。逆にロンドン五輪を逃した時は......。男子バレー界を低迷させてしまったことが、本当に申し訳なく、情けなくもあります。ロンドンを逃したことが、いまだ多くの選手の心の傷になっています。全日本に呼んでいただき、もう一度、挑むチャンスをいただけたことに感謝しかありません」

 北京五輪最終予選の際、同い年の福澤達哉とともに全日本に選出された清水は、チーム最年少の21歳の大学生だった。当時の全日本監督・植田辰哉は、清水にこう言ったという。

「若手は勝敗やミスを気にせず、全日本に選ばれた喜びを前面に出せ」

 今も、その言葉は清水の耳の奥に残っている。

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